2012年2月21日火曜日

富の分配ではなく、富の移行へ。

今日のお昼。お腹いっぱい。






で、こないだアップルの株価が過去最高値を更新した。
今やアメリカの将来を背負う大企業に成長したわけだが、これまでのGMやGEとは勝手が違うようだ。

Appleのアメリカ国内での雇用人数は約4万人と言われている。もっともこのご時世、世界各地にマーケットを展開しているので、すべて合わせれば70万人ぐらいだろうか。

ここで問題なのはAppleがこれだけ増収増益を続けても役員と従業員の報酬の額が余りにも開きすぎていることだ。もっというなら、昔のGM、GEはアメリカ国内で約40万人を雇用していた。

資本主義の原理として最も理想的なのは中間層の国民が多ければ多いほど、理想的な社会構造なわけで、現在の歪な社会格差は健全な資本主義の形とは言い難い。

それはアメリカだけに限らず、ヨーロッパや日本、中国でさえも同じような構造が出来上がってしまっている。

欧州の金融不安は元を正せば、中間層の間で金が廻らなくなったのが原因といっても良い。一部の富裕層は我関せずで、海外に移住したり、相変わらずのマネーゲームに興じ、社会保障の崩壊なんぞどこ吹く風で胡坐をかいている。

日本もバブル崩壊後、結局「失われた10年」があっというまに「20年目」に突入してしまった。
たんす貯金が1000兆円あるにも関わらず、国民が財布のひもを緩めないのは結局は団塊の世代より上の世代ががっちり確保しているから、いくら若い世代が消費しようが雀の涙なのである。

企業も行政も役付けの人々は桁がひとつ違う。

そんなにしこたま貯め込んでないで、もっと使ってください。
お子さんの将来も心配でしょうが、日本の将来も危ないんです。

企業収益の分配も明らかに額が違いすぎるが、経済規模が縮小しているなか、若い世代にもっとお金が廻るようにしなければ、それこそ「高額休眠口座」が大量発生してしまう。

2012年2月14日火曜日

路上のオルゴール弾き(訂正版)

「20min」というドキュメンタリーをNHKで放送している。

一昨日、たまたまチャンネルを合わせたら、番組が始まるところだった。
始めは観ないでそのまま寝ようとおもったが、冒頭のナレーションに惹きこまれた。

「彼は28年間、ずっと手回しオルゴールを路上で演奏し続けている」

30歳で音楽教師を辞めた彼は生き方に悩み、そのとき自分と一緒に泣いてくれているように感じたのがオルゴールの音色だったのだという。

音楽を純粋に愛するが故に、生徒に通信簿の成績をつけることが辛かった。
次第に心のバランスが乱れ、不安や体調不良が続くようになった。

その結果、教師という仕事に別れを告げ、以来ひたすら自分の心の拠り所であるオルゴールの音色を奏でる毎日。生活環境はお世辞にもいいとは言えない。それでも彼は

「1万円あったら何に使いますか?」

という質問に、

「おいしいものを食べるわけでもなく、たぶんオルゴールの楽譜を買うと思います」
と、いった。

彼にとって唯一、自分が自分でいられるのがオルゴールを弾いているときなのだろう。

「好き」を続けることこそ、最大の喜びであり、最大の苦しみでもある。

生活保護を申請すれば、オルゴールも手放さなくてはいけない。
そんなギリギリの環境の中で、彼は今日も道に立つ。

自分には真似ができない。
どうしたら、そんなにひとつのことに心血を注ぎこめるのか?
暖を取るよりも、食事を取るよりも、身体を労わることよりもオルガンを優先する。

寒い石巻の路上で目をまんまるにして、彼の演奏に聴き入っている少女の姿が印象的だった。

※オルゴールと書くべきところをオルガンと書いていました。申し訳ありません。